甲魚とはスッポンのことで、平たく言えばスッポン入りのおこわです。台湾の屋台料理などで見られ、台湾では油飯と呼ばれます(糯米甲魚という呼び方は上海料理などで使われます)。
スッポンは濃厚なゼラチン質のエンペラ部分と肉には滋養作用が期待でき、甲羅は甲羅で生薬としても用いられ(別甲または土別甲とよばれます)、そちらの効能としては滋陰潜陽~簡単に言えばほてりを抑えて潤いをつける作用があるとされています。
因みにスッポンの甲羅が有効とされる“ほてり”は、熱が強いわけではなく、老化や過労によるからだの水分保持能力の低下を原因として発生するもので、車に例えればラジエターの水が抜けてオーバーヒートしたような状態といえます。この時に氷などで冷やすのではなく、不足している水を足してオーバーヒート状態をなくすような効能がスッポンの甲羅にはあるということです。
人間の身体を機械のように捉えた場合、ほてりを始め熱があれば冷却して熱を下げるものと短絡的に考えがちですが、中年以降に感じるほてりや熱感は、(風邪などの急性病を除けば、)自分の持っている熱量にあった潤い不足が原因であることが殆どで、更に熱エネルギー自体も若い頃よりも減少しており、冷却するよりも不足している潤いを増やすことでバランスを取るのが自然な解消法となります(そういった効能を“滋陰”と呼びます)。