最近は、食べるラー油というのが流行っているそうですが、このメニューは唐辛子と中国山椒の海の中に豆腐が沈んでいるような料理で、食べるラー油感覚で口にほおばると末永く後悔することになります。
唐辛子と山椒の組み合わせを麻辣(マーラー)と表現しますが、四川料理の特徴のひとつとなっています。“麻”とは山椒のしびれる味を指し、辣は唐辛子の辛いという味のことです。因みに麻婆豆腐の“麻”は“あばた”のことで、麻婆とはあばた顔の奥さん(婆)という意味です。
さて、唐辛子も山椒も生薬としても用いられますが、効能としては共に気の流れを良くしておなかを温める作用があるとされています。このため、冬の寒い時期にも適していますが、夏の暑い時期は湿度が高く、湿気は気の流れを邪魔することで、体のだるさや食欲不振などにつながることから、湿気をはらって気の流れを良くする麻辣味は夏の暑い時期にもそれなりの有用性が期待できます。
ただし、刺激に耐えられるだけの胃腸の粘膜の強靱さが要求されますので、基本的に胃腸が弱い方は食べるラー油の方が合っているように思います。