ミノは4つある牛の胃の中でも最大の第1胃で、無数の微生物が棲息し、牛が食べた植物性のエサを発酵する役目をしています。
牛は草食動物という概念で捉えられますが、正確に言うと食べた植物を微生物が“食べて(=発酵して)”、産生される酢酸や酪酸などを栄養素として吸収して生きています。
人間の場合は胃ではなく腸管内の100兆にものぼる細菌が栄養物の代謝や免疫機能に大きく関係しています。自然界においても、特に有機農法では土の中の細菌の善し悪しが作物の生育に大きく影響することが知られています。
最近は、衛生的な工場で水耕栽培された野菜などが無農薬ということでもてはやされていますが、そもそも無菌状態ということ自体が生命現象にとって極めて不自然であり、無農薬で栄養素がいくら含まれていようと、そういったものを食べて元気になるのかというと疑問を感じます。
漢方の考え方では、人間は食物から栄養だけでなく、「気」のエネルギーも取り込んでいると考えられており、有用な菌と共生して元気に育ったものの方が、そこに含まれる「気」のエネルギーは大きいと思います。