“酸辣湯(スワンラータン)”とは、酢の酸味と唐辛子または胡椒の辛味を効かせたさっぱり味のスープのことです(山東料理では胡椒、四川系ではもちろん唐辛子が使われます)。基本的に片栗粉でとろみをつけたスープで、写真はアンコウ(鮟鱇)と木耳(きくらげ)が具に使われた麺仕立てとなっています。
最近は、低脂肪でぷるっぷるっのゼラチン質ということから美容に良い食材としても人気のアンコウは、フグなんかと違って深海魚で、昔は食べられていなかったのではないかと思って調べてみたところ、1830年に江戸にアンコウ鍋の専門店ができていたそうで、案外古くから食べられていたようです。また、西日本よりも東京を中心に東日本で好まれているというイメージが強いですが、漁獲量が一番多いのはフグで有名な下関港だそうです。
中国語でもアンコウは“安鱇魚”で、もともとあまり食べられていなかったと思いますが、フカヒレにせよスッポンにせよゼラチン質の食材には老化予防効果があるとされていますし、俗にアンキモと呼ばれる肝(きも)は特に「肝の季節」とされる春の季節には好ましい食材といえます。
更に、薬膳的に見た場合、適度な酸味は肝の働きを良くするとされていますし、辛味は発散作用があって気の巡りを良くする作用もあり、気の流れが滞りがちな春に酸辣湯はぴったりです。