タラの白子を蒸したものを白腐乳で味付けしたものです。腐乳は豆腐に麹を作用させて得られ、植物性のチーズとでも言えるもので、独特の発酵臭があります。沖縄の“豆腐よう”の原形とされています。
麹の種類によって赤い色をした紅腐乳と写真の白腐乳の2種類があり、白腐乳の方があっさりとしており、野菜や魚介類と合わせられるのに対して紅腐乳は肉料理などに用いられることが多いです。
さて、タラの白子はタラの精巣ですが、薬膳的には文字通り“精”のつく食べ物と言えます。漢方の概念では「精」とは、生命の根元的な物質とされ、肉体の元となる物質であり、更には生命の熱エネルギーの原料とも言える物質とされています。また、生殖の原動力であり、約2000年前に記された黄帝内経には精と精が合わさって新たな精が生じ、そこから生命が始まると記されています(有精卵や精力、精子、精巣、精神、精魂といった言葉もこういった概念を元にした言葉です)。
また、人間の老化は即ち精の減少過程であり、精の減少を防ぐためにはタラの白子のような食べものでなくとも、食品中の最も栄養の濃い部分から精を補充することが重要とされており、その為には胃腸の消化吸収機能が正常に働くことが条件であり、このことから養生の基本は食養生となっているわけです。