砂ずりは砂肝や砂嚢とも呼ばれますが、解剖学的には筋胃と呼ばれる部位で、砂や小石と共に強力な筋肉で食物を消化するところです。
歯が無いニワトリにとって、このパワフルな胃袋は消化のために欠かせない訳ですが、人間も食物を噛まなければ、それだけ余計に胃に負担がかかる事になります。
というのも、現代日本人の1回の食事に於ける噛む回数は減少の一途で、弥生時代に比べると6分の1、半世紀前から比べても半分程度になっているといわれています。
食べものそのものがどんどん柔らかくなっている事が背景にあるといわれていますが、食事の際にあまり噛まないことが習慣化されると、胃に負担がかかり胃腸機能の低下だけでなく、漢方的には全身のエネルギーの低下につながると考えられます(→ 「よく噛んで食べる」メリット 参照)。
何を食べるかも大事なことですが、とにかく食事の際には一口最低30回は噛む習慣をつけることが健康と長生きのためには重要です。
ところで、漢方の世界では鶏の砂嚢の内膜を乾燥させたものを「鶏内金」と呼び、強力に消化機能を高める作用があるとされるほか、胆石などにも応用されています。