(引き続き、東京の過門香さんのメニューより)
中華料理で麺類や点心をまとめて麺点ものと称しますが、大きなレストランにはそういった麺点ものを専門に作る麺点師と呼ばれる料理人がいます。
もともと麺という字は小麦粉を練ったものを指しますので、炒麺や湯麺に使われる麺、焼売、包子など原料が小麦粉である限りすべて麺類で、一般の料理とは別に専門化されています。
香港などの飲茶レストランでは、もともと夜の宴会料理などに用いる肉や野菜類の残り物とか、細かい部分を朝~昼の飲茶メニューの材料にするというサイクルがあって、厨房の料理人も朝と夜で入れ替わるわけで、分業制とでも言えるシステムになっています。
そういった事情で、麺点類に用いられる食材は、痩肉(赤身肉のこと。中華で人気のあるバラ肉は「肥肉」)やミンチ肉、細かい骨付き部位で野菜なども細かく刻んで使われることが多くなりますが、そういった制約の中でいかに見た目も良く、おいしいものを作るかが麺点師の腕の見せ所となります。
今や、高級な飲茶専門店なども多くなってきて、事情も変わってきていますが、麺点類は食材をとことん利用するという文化から生まれたともいえます。更にもうひとつ麺点ものの特徴を挙げるとすれば、蒸しものが多く(炒麺でも一旦、麺を蒸してから炒めます)、肉類でも胃もたれしにくいと言えます。