日本では、お正月のというか、年賀状の決まり文句は「謹賀新年」ですが、中国では「恭賀新禧」がよく使われます。
ただし、華僑というか商売人気質が充満する広東や香港などでは“新禧”の代わりに商売繁盛やお金儲けを意味する“發財”を使って「恭賀發財(くんへいふぁっちょい:広東語読み)がポピュラーです(ま、大阪のノリに近い感じがしますが、実際に香港人の歩く速さは日本最速といわれる大阪人よりも早いような気がします)。
ところで、写真のスープで髪の毛のように見えるのは藍藻類の一種で“髪菜”と呼ばれるもので、“發財”と発音が似ているため、縁起物の食材として人気があります。ただし、近年、乱獲がたたって中国政府は髪菜自体の採集を制限しているようで、今後はあまりお目にかかれなくなるかもしれません。
髪菜はモズクのような食感で、それ自体に香りや味があるわけではなく、薬膳的な効能としては、髪の毛がきれいになると言われています。こじつけのようにも思えますが、藍藻類には造血に必要なビタミンやミネラルが豊富に含まれることから“血の余り”である髪の毛の状態を改善する作用があってもおかしくはないと思います。因みに髪菜と一緒に入っている蟹粉(シエフェン)とは上海蟹のミソと身をほぐしたものです。