(引き続き、福臨門の大阪店のメニューから)
広東料理の上湯(しょんとん:広東語読み)スープにフカヒレと金華ハムが薄切りにされたものが載っています。
このお店の上湯スープは金華ハム、老鶏、豚肉を長時間煮て得られる旨味たっぷりの濃厚な味で、更に金華ハムが載せられており、一口すすった時には一瞬化学調味料たっぷりかと錯覚するほどでした。しかし、化学調味料特有の後味も全然なく、後になって口が渇くこともなかったので、自然のダシの味だと思います。
おそらく世界3大ハムのひとつに数えられる金華ハムからのダシの味の影響が強い為と思われますが、考えてみれば旨味成分を追求して作り出されたのが味の素などの化学調味料ですので、化学調味料を使わずに化学調味料と同じような味になるというのはそれはそれですごいことのように思います。
化学調味料は旨味成分を純粋な形で合成して得られるものですが、自然界にはそんなに純度の高い状態で存在しているわけではなく、その不自然さが、チャイニーズレストランシンドロームと呼ばれる化学調味料による口渇や頭痛の原因になっていると思われます。また、こういった事は新薬と生薬や漢方薬との違いにも見られ、植物に含まれる有効成分だけ(即ち、新薬類)を服用した場合に、生薬や漢方薬として服用した時に比べて副作用が大きくなる傾向にあります。
“自然でない行いは、自然でない混乱を生む”とは、かのシェークスピアの言葉ですが、特に現代社会の食に関して、しみじみそう思います。