豚肉の細切りとサツマイモ、レンコンなどの炒めものです。サツマイモは中南米が原産とされ、コロンブスが15世紀末にヨーロッパへ持ち帰り、16世紀末に中国に渡り、ほどなくして琉球を経由して日本に伝わったそうです。現在では、世界的には芋類の中でジャガイモに次ぐ生産量があり、その8割以上が中国で生産されています。
サツマイモの薬膳的な効能としては胃腸を丈夫にし、整腸作用があるとされているほか、食物繊維を多く含んでいるので、便秘に良いとされています。ただし、食物繊維は腸内の余分な水分を吸着する作用もあるので、水瀉性の下痢にも効果が期待できます。
さて、「胃腸を丈夫にする」という薬膳的な効能に関しては、主食とされる穀物類やサツマイモなどの芋類に共通で、それゆえ主食として永年に渡って食べられてきたとも言えます。また、主食としてもうひとつ重要な点は、デンプン質=炭水化物であり、体内で消化されるとブドウ糖に分解されるということです。これは、人間の脳が利用できる唯一の栄養源がブドウ糖だからです。
現代社会に於いては、人類史上初とも言えるほどお菓子やジュース類が氾濫していますが、このことは、胃腸を丈夫にするという薬膳的な効能を併せ持つ主食を軽視する傾向を生み、甘いものの過食が胃腸に負担となる上に、胃腸を丈夫にする働きのある主食の摂取量の減少からも胃腸が弱る要因となり得ます。