(引き続き、東京蒲田のチャイニーズレストラン聖兆さんのメニューから)
鰹のたたきと蝦醤(シャァジャン)の取り合わせです。蝦醤はアミエビなど小さなエビを発酵させた調味料で、香港や東南アジア(タイのカピ)でよく使われています。
蝦醤や日本のしょっつるなど魚介類を発酵させた調味料は、大豆など植物性の発酵調味料(醤油など)よりも歴史が古いとされていますが、濃厚な風味と旨味が特徴です。
発酵調味料の利点としては、微生物により蛋白質などがアミノ酸などに分解されていることで、栄養が吸収されやすいとともに、腸内細菌のバランスを整える作用もあるそうです。
腸内細菌のバランスがよくないと食物の消化吸収から、からだに必要なホルモンやビタミンの合成、有害物質の排除などに支障をきたすばかりか、免疫にも悪影響を与えることは広く知られています。更に、近年、腸と脳の相関関係について様々な発見があり、腸が健康でないと精神的にも安定しないとされています。
漢方では消化管の機能は五臓六腑の「脾」の役割とされていますが、ここが弱い人はすなわち脾弱=“ひよわ”であり、西洋においても「ガッツ(guts)がある」という時のガッツとは腸管のことです。このように、洋の東西を問わず昔から本能的に腸の重要性は認識されていたと思われますが、その腸管の機能面に大きく影響しているのが腸内細菌バランスといえます。
その腸内細菌に悪影響を与えるのは抗生物質などの薬剤や化学物質のほか、見落としやすいのが“冷たい”飲みものや食べものです。理由は、善玉菌は高温を好み、悪玉菌は低温を好むからで、腸内の細菌バランスを良い状態に保とうと思えばおなかを冷やさないことが重要になります。
これからの季節、気温も上昇していきますが、冷たいものの過度の摂取は健康とともに美容面にも悪影響を与えます。