見た目は鶏のローストですが、結構手のこんだ料理です。
まず、丸鶏のまま香辛料の入った塩水に漬けたものを一旦蒸してから水気を除き、米、蓮の葉、八角茴香、ジャスミン茶葉、砂糖などを使ってスモークします。それから数日間寝かせて熟成させたものを高温の油で揚げてあります。スモーキーな香りがしつつも身はしっとり、皮の部分はクリスピーな四川料理の一品です。
さてこの料理や東坡肉(トンポーロゥ)にも欠かせない八角茴香ですが、最近では抗ウイルス薬であるタミフルの原料として需要が高まり、急激に値上がりしたという報道がなされていました。八角茴香そのものに抗ウイルス作用があるわけではなく、中に含まれるシキミ酸を抽出して、それをもとに化学合成してタミフルが出来るわけですが、インフルエンザが流行ると中華料理が値上がりするというのは“風が吹けば桶屋が儲かる”というか、今風に言えばバタフライ効果のひとつなんでしょうか?