(引き続き、日本橋コレドの中にある「維新號 甬江(いしんごう よんじゃん)」さんのランチメニューから。)
貝柱と白身のお魚の蒸し物です。中華料理の最も得意とする調理法は、一般の人がイメージするような炒めものや揚げ物ではなくて、「蒸しもの」です。
蒸すことは、食材の形が崩れない、栄養が逃げにくいなどの利点があるほか、スープなども直接火にかけるより器に入れて蒸すことで、雑味が出ず具材の滋味がしみ出て奥深い味になります。
魚や海鮮の蒸しものは、作り方自体はシンプルで和食とさして変わらないわけですが、最後にネギやショウガ、香菜などの上から熱々の油(ピーナッツオイルなど)を回しかけて、香りをたてるところが中華料理らしさになります。
中華料理では“色・香・味・形”といって、この4つの項目が重要であるとされていますが、(そのこと自体は世界中どこでも同じようなものかもしれませんが、)「味」よりも「香」の優先順位が高く、香りを損ないやすい蒸し物ゆえ、中華料理ならではの一手間が必要になる訳です。
「香り」は栄養学的には意味のないものかもしれませんが、漢方理論では「気」の流れを良くし、「気」の流れが良くなると胃腸の蠕動運動がスムーズになります。よって、食べものを消化吸収しやすくなるわけで、味よりも優先順位が高い理由もそこら辺にあると思います。