(引き続き、日本橋コレドの中にある「維新號 甬江(いしんごう よんじゃん)」さんのランチメニューから。)
里芋と鶏肉、干し椎茸などの煮物です。上海に近い蘇州の名物料理に里芋と地鶏をネギ油の香りとともにスープで煮込んだものがあり、それをアレンジしたものだと思います。
里芋といえば和の食材のようなイメージがありますが、日本には縄文時代には渡来したと言われ、稲作が広まるまでは主食として食べられていたそうです。またそれ以後も、江戸時代まで日本で芋といえば里芋のことでした。
里芋の薬膳的な効能は胃腸の機能を良くするということです。芋だからお通じが良くなると思われがちですが、玄米や雑穀、野菜を中心に食べていた時代に便秘が問題になることは希で、漢方や薬膳で「胃腸の機能」が良くなるというのは、消化吸収力が高まり、気力や血の量が増えると言うことを指します。また、胃腸は水分代謝にも大きく関係していますので、むくみにくくなるというのも胃腸機能改善の目安になります。
この胃腸「機能」に関しては健康診断などでレントゲンを撮ろうが、胃カメラを飲もうが、見えるものではありません。よって、健康診断で異常がないからといって、胃腸機能が正常かどうかなんの保証もありません。ただし、漢方では胃腸機能が正常に働いているかどうかは簡単に判断することができます。
それは、「毎食、健康的な空腹感がある」「食後、胃もたれしたり、眠くならない」「便通が正常」の3つがあてはまれば、まず正常で、このうち2つに問題があれば胃腸機能が正常ではない(脾気虚といいます)と判断されます。
現在、食育について様々な意見が出されていますが、人間が健康でいられるために最も重要なことは、何を食べるかよりも、いかに胃腸の機能を正常に保つかという事です。