宴席メニューが続きますが、今回は東京・銀座にある「過門香」さんです。このお店は、斬新なデザインの空間で、「上海、広東、四川などを代表する特級調理師・点心師が織りなす料理を提供する」というコンセプトだそうで、前菜の盛りつけも「おしゃれ」です。
さて、前菜とは食欲を高める目的で供されるものですが、口当たりの良いものを少量ずつ口に運ぶことで、唾液の分泌や消化液の分泌が促され、その後に続くメインディッシュの消化と吸収を円滑にするためのものです。
現代栄養学に毒されていると、食物は食べさえすれば栄養が吸収されるという機械論的な考え方に慣らされてしまいますが、同じ物を食べても、食べる早さや噛む回数、食べものの温度によって、あるいはその時の体調や、時間帯によって、また、食べる人の体質が違えば、栄養物の吸収に差が出てくる筈です。
つまり、前菜で食欲増進プラス消化機能の活性化をして、次に暖かいスープなどで胃腸を温めてからメインディッシュという構成が人間の消化吸収活動にとって合理的であるからこそ、洋の東西を問わずそういう構成になっているわけで、毎日フルコースを食べるわけではないですが、少なくとも、食事に関して物質としての食材以外にも重要な要素はいっぱいあるということです。