(「翠園」さんのメニューから)
蟹の爪に衣をつけて揚げたものに、ケチャップベースの甘酢ソースが添えられています。
松葉蟹など蟹が出まわるシーズンとなりましたが、蟹の身は薬膳的にはからだを冷やす作用があり、日本では三杯酢におなかを温める作用のあるおろし生姜を入れる習慣があります。中華でも、上海蟹には生姜茶がつきもので、いずれも蟹のからだを冷やす作用を中和する目的があるものです。
蟹に限らず、日本で昔からおろし生姜を付け合わせる食べもの~冷や奴、キュウリやナスの漬物など~は、基本的におなかを冷やす作用がありますが、現代ではそういった生活の知恵の部分が失われ、おろし生姜が省かれることが多くなっています。別に、おろし生姜をつけなくてもおなかが痛くなるわけではありませんが、おなかを慢性的に冷やしていると下痢などの胃腸症状だけでなく、漢方ではおなかは気力の発生源と考えられているので、気力低下や免疫力の低下につながります。
おなかと気力の関係では、漢方に限らず西洋でもガッツ(guts)とは消化管(はらわた)のことで、ガッツのある奴=胃腸が丈夫ということです。因みに、日本語で「ひよわ」とは五臓六腑の消化吸収機能をつかさどる「脾」が弱い人のことを指します。