(「大陸風」さんのメニューより)
スズキを蒸したものに醤油ベースのタレをかけて、最後に白髪ネギを載せて、上から熱した油をかけたもので、シンプルな蒸し物です。
スズキは白身の魚の割には脂がのっており、蒸してもしっとりとした食感になります。もっとも、日本では昔からスズキは余分なあぶらを冷水で洗い流した“あらい”にして食べるのが最も美味であるとされてきました。
魚の脂身といえば、江戸時代はマグロのトロなんかでも殆ど食べる人が居なかったそうで、永年に渡って肉食をしてこなかった日本人にとっては魚といえども脂身は受け付けなかったようです。これは、嗜好の問題と言うよりはもともと胃腸が弱い日本人にとって、脂肪分は胃腸に負担になることから好まれなかったものだと思います。実際に貝原益軒の養生訓にも脂肪分の多いものは食べすぎないように注意すべきであると記されています。
今でこそ「脂(あぶら)ののった」という言い方はプラスイメージですが、考えないといけないのは、日本で一般に肉類などが常食されるようになって何世代も過ぎていない訳で、日本人の脂肪分を消化する能力は欧米人に比べてまだまだ低いということです。このことが、日本人の間で欧米型のガンと呼ばれる乳ガンや大腸ガンの増加を招いているわけで、食養生的な発想からは、日本人の場合、欧米人よりも少ない量の動物性脂肪の摂取でもこれらのガンに罹患するリスクは高くなると思います。