ナスを裏ごししたものに、マスタードソースがかけられています。いたってシンプルな一品ですが、老北京菜(ラオペイジンツァイ)と呼ばれる、北京の伝統的な家庭料理のひとつです(家庭といっても庶民の家庭と言うより皇帝や豪族の家庭ですが)。
北京には清朝の時代の宮廷料理の流れをくむお店がいくつもありますが、そういったお店でも宴会用の豪華な料理以外に、このメニューのように素朴で「毎日食べても食べ飽きない」料理というものがあって、老北京菜として近年見直されています。
さて、ナスは一年中出まわってますし、見た目もキュウリのようなみずみずしさにかけるので、夏野菜というイメージがあまりないのですが、ナスの90%は水分です。薬膳的にもからだの余分な熱を冷ます作用があるとされていますし、茄子紺と呼ばれるナスの色素には強力な抗酸化力があって、紫外線による日焼けなどにも効果があります。