(「過橋米線」さんのメニューより)
店名にもなっている「過橋米線」です。なんでも、その昔、科挙の試験勉強をしている夫に、奥さんが毎日、橋を渡って料理を運んでいたそうで、なんとか料理が冷めないようにと熱いスープの上に鶏油の層を作って冷めにくくしたというのが名前(「過橋」)の由来です。また、米線とはお米で出来た麺で、ビーフンほどのコシはなく、柔らかめのうどんといった感じのものです。食べ方は、熱いスープに薄切りの肉や下茹でした野菜や米線を入れて、一呼吸置いた程度で麺も具も食べることが出来ます。
ところで、この「過橋米線」の故事は、「料理は熱いものを食べるのが当たり前」であるという概念が浸透している中国らしい話しだと思います。
日本は昔からおにぎりや幕の内弁当など、冷めたものでも平気で食べる文化がありますが、中国では有史以来、温かいものを食べるのが当たり前で、冷めた料理(もちろん前菜やデザートなどは例外です)を食べることは生理的に受け付けないという文化があります。
栄養学だけから考えると、熱かろうが冷めていようが物質としては同じ物かも知れませんが、冷たいものを食べると胃腸が冷やされ、消化酵素の働きも低下しますので、消化と吸収には大きく影響します。食べ物は体内で消化吸収されて初めて役に立つわけですから、物質的には同じ物を食べていると言っても結果は異なります。