紅芯大根の入った大根餅です。紅芯大根は色が鮮やかなだけでなく、普通の大根よりも甘みが強いのが特徴です。
ところで大根は日本で最も生産量の多い野菜ですが、薬膳的な効能としては健胃作用の他、咳止めや去痰作用も有るとされています。健胃作用についてはジアスターゼなどいくつもの消化酵素や魚の焦げなどを無毒化する抗酸化酵素などを豊富に含んでいます。
一説には、日本の大根の生産量は世界の9割近くを占めると言われていますが、大根がこれほど日本人の食生活に欠かせないものになっている最大の要因は、日本人の胃腸が弱いからだと思います。貝原益軒の「養生訓」にも、日本人の胃腸は中国人に比べても弱いと指摘されていますが、漢方理論では湿気の多い環境下では胃腸が弱るとされており、年間降水量が世界平均の2倍近くある日本で生活する以上、胃腸が弱くなるのは避けられません。
よって、昔から日本で長生きしようとすればまず胃腸を大事にする必要があり、健胃作用があって栽培も比較的簡単な大根が日本人に好まれてきたものと考えられます。