タラの白子は正確に言うと、スケトウダラ(介党鱈)の精巣です。新鮮なものは模様が菊の花のように見えることから菊子とも呼ばれますが、濃厚な味がして滋養作用に優れた食材です。
薬膳的には、白子=精巣は、まさに「精」を補う作用があり、漢方理論では「精」から「髄(骨髄)」が生じるとされていますが、白子の栄養成分から見るとカルシウムの吸収と骨を丈夫にするのに欠かせないビタミンDが豊富に含まれています。もちろん、「精」は骨だけに関連してるわけではなく、人間の持つ免疫力やホルモンなども「精」が大きく関わっているほか、「脳は髄の海」とされ、「精」の減少は認知症の要因ともなります。
また、過労は「精」を消耗しますが、先日の新聞報道でもネズミを使った実験で、過労状態になると脳細胞が破壊されることが確かめられたそうです。よって、日頃から人間は「精」を蓄えておくことが重要になりますが、基本的には食べ物の中の一番栄養の濃い部分に「精」は含まれ、胃腸の消化吸収力が正常に働くことで、「精」は体内に取り込まれるとされています。
別に栄養価の高くない食べ物でも、胃腸がちゃんと働きさえすれば「精」を取り込むことは出来ますが、歳と共に消化吸収力が衰えてくると、「精」を豊富に含む食べ物が必要になってきます。また、食べ物で追いつかない時には鹿茸や海馬といった「精」を補う生薬などのはいった漢方処方が必要になります。