金柑は中国原産で、日本では江戸時代以降に主に観賞用として広まったそうです。薬膳的な効用としては「気」の流れを良くして、消化を助けるとされていますが、日本でよく見られる砂糖漬けにしたものは、のどに良いとされています。
さて、日本でも大人気のヨーグルトですが、中国では北京など北方の乾燥地帯ではよく食べられています。ところで、人類の歴史を考えると、ヨーグルトに限らず乳製品の利用というのは、穀物が十分にとれない乾燥地帯や寒冷地域で発展したものです。
人類の祖先はアフリカで誕生したとする説が有力ですが、人類の分布が広がっていった時に、穀物や野菜、果物が十分にとれない地域〜高緯度地域では、食料を安定的に確保するために、羊や山羊などの家畜を飼って、その乳や肉を食料源とする必要性が生まれました。
人類は言うまでもなく哺乳動物ですが、哺乳動物は離乳期を過ぎると乳を飲まなくなります。これを栄養代謝面から言うと、乳糖分解酵素の活性は離乳期を過ぎると急速に低下し、代わってデンプン分解酵素の活性が高まります。ところが、先祖代々何千年にも渡って、成人してからも家畜の乳を飲んでいると、離乳期を過ぎても乳糖の分解酵素の活性が低下しないようになり、結果的に現代人は人種によって、成人してからの乳糖分解酵素の活性には相当な差があります。
何が言いたいかというと、牛乳などの乳製品は、乳糖分解酵素の活性が高い人と低い人では、身体の受ける影響が違うと言うことです。東洋人の身体を前提にした薬膳という考え方では、牛乳などは身体に「湿」を生じるものとされ、熱病で身体が干からびたような時には有用でも、湿気の多い地域の人は常用しない方がよいとされています。