昭和2年創業という大阪ミナミの老舗の中華料理屋さん〜シノワーズアラカルト大一楼さん〜の宴席メニューから、まずは前菜の盛り合わせです。
ピータンやキュウリの甘酢のほか蒸し鶏やエビマヨの冷製、チャーシューなどの定番が盛られていますが、このボリューム感が宴席気分を盛り上げてくれます。
もともと中華料理というのは炒めるにしろ、煮るにしろ大きなお鍋で全員の分を作ってから取り分ける事が多いのですが、封建時代に於いて、王侯などの催す宴席に於いては、料理を皆に均等に分けるのではなく、年齢や性別、体格や体調を考慮して各人に適切な食材を適量配る専門の人がいて、その人物の能力が極めて重視されていました。
商王に仕えた伊尹(いいん)は、もともと料理人であったものの、料理を必要な人に必要なだけ配るという才能にも秀で、やがて宰相に抜擢されますが、このことは政治とは人々それぞれに必要なものを公平に分配することであるという点と、漢方薬の世界にも言えることですが「個人個人が必要とするものは違う」という思想が根底にあることを示していると思います(言われてみれば当たり前のようなことですが、日本の現状を考えると色々と考えさせられます)。