島根県松江市の宍道湖畔にある皆美館の鯛めしです。
皆美館さんのサイトによりますと、江戸時代、長崎や平戸に赴いた側用人が献上した西欧料理を松江藩主松平不昧公がアレンジしたものが原点だそうで、平成十年には登録商標を取得されたそうです。
大阪で鯛めしと言うと、お米を鯛の出汁と鯛一匹とともに炊きあげ、鯛の身をほぐして食べるというイメージですが、こちらのは写真右上の皿に載った細かいそぼろ状になった玉子の黄身と白身、それに鯛の身を細かくほぐしたもの、海苔やわさびなどの薬味をご飯の上にのせて、さらに出汁をかけて食べるスタイルで、“御殿料理”と称するだけあって確かに高タンパク低脂肪な胃腸に優しい料理でした。
ところで、今時分の鯛は桜鯛と呼ばれ、産卵期前で脂がのっており、秋(もみじ鯛)とともに旬の時期にあたります。鯛の薬膳的な効能としては補脾健胃~胃腸機能を良くする作用があるとされています。これは、胃酸を抑えたり、胃の粘膜を守ったりするといった西洋医学的な胃薬の薬効とは違って、胃腸機能そのものを高める作用を指します。また、漢方で考える胃腸機能とは、食べ物の消化と吸収だけでなく、水分代謝や統血作用(血がみだりに漏れないようにする作用)まで含み、更に脾は“後天の本”とされ、胃腸機能が正常であることが健康の大前提とされています。