漢方から見たストレス・睡眠障害

ストレスと睡眠の関係について、それも、自分自身ではなかなか自覚しないような睡眠障害についてお話します。

ストレスが原因となる疾患は、うつ病などの精神神経疾患をはじめ、胃腸疾患、頻尿(神経性前立腺炎)などから高血圧などの循環器系疾患、喘息などの呼吸器疾患、糖尿病などの内分泌代謝疾患などさまざまですが、いずれにせよストレスが発生したときに真っ先に影響を受けるのが、睡眠です。ただし、睡眠障害と言っても初期においては殆ど自覚されることがないのが特徴です。というのも、なかなか寝付かれないとかではなくて、夜中にはっと目が覚めるとか、夜中に何度も目が覚めるという形で起こるからです。

<表1>

<表2>

人間の睡眠のリズムをあらわすと、表1のように、俗に言う寝入りばなとよばれる深い眠り(ノンレム睡眠)になってから、浅い眠り(レム睡眠)と深い眠りが交互におとずれ、やがて朝を迎えて目覚めるというのが自然な形とされています。

ところが、昼間ストレスを受けるとレム睡眠とよばれる浅い眠りの時(半覚醒状態とも呼ばれており、体は眠っていても神経は休んでおらず、夢を見るのもこのときです)に、昼間のストレスが脳裏をよぎって神経を緊張させ、全身に力が入ったりしますが、緊張のレベルが強くなると、はっと目が覚めたりすると言われています(表2―A)。また、このような時には目が覚めないまでも緊張が持続して、ノンレム睡眠とよばれる深い眠りに入ることが出来ず、そのまま朝を迎えるという事にもなります。(表2―B)

このような睡眠の状態が続くと、体の疲れがとれないとか、朝起きたときから首の後ろあたりが凝っているということになりますが、例えば夜11時に寝て、朝7時に起きているのであれば、8時間は眠ったということで、問題はないと思われる方が殆どだと思います。

ところが、睡眠の質ということから考えるとこのような眠り方をしていると様々な問題が発生します。実は、人間の睡眠に関する研究では、深い眠りの時(ノンレム睡眠)の時にだけ成長ホルモンが分泌されるということがわかっています。即ち、表2のAやBのパターンの睡眠では、成長ホルモンの分泌が低下してしまうのです。

「寝る子は育つ」という諺があるように、睡眠と成長ホルモンには密接な関係があるわけですが、この成長ホルモンというのはなにも子供が成長する過程でだけ必要とされるものではなくて、成人してからも非常に重要な役割をになっています。

成長ホルモンの働き

・皮膚の張り、弾力性がよみがえる

・タンパク合成を刺激して、筋肉量を増加させ、体脂肪を減らす

・骨密度の増加

・運動能力、持久力の向上

・免疫能の向上

・内分泌腺に影響を与えたり、成長を促進する

・性機能の向上

すなわち、睡眠の質が悪くて、十分なノンレム睡眠の状態がないと、いくら長時間寝ていたとしても、体の疲れがとれないばかりか健康に対して様々な弊害が生じると言うことです。反対に睡眠時間が短めでも、ノンレム睡眠が十分あれば健康を保っていられると言うことです。

さらにストレスの影響によって睡眠の問題以外にも起こりやすい症状としては

・心電図では異常がないが動悸がする

・落ち込んで何もする気が湧かない

・何となく息苦しく、ため息がでる

・ちょっとしたストレスでお腹の調子が悪くなる

などといった症状が発生しやすくなります。また、昼間にこのような症状が出る方は、夜もぐっすり眠っているとは思えません。

漢方では、このような症状~ストレスによって、「気」の流れや睡眠リズムに変調をきたした時に、速やかに「気」の流れを整えて睡眠状態も改善してくれる高貴薬として「麝香(じゃこう)」が知られています。

麝香(じゃこう)の薬効について

麝香(じゃこう)は欧米でもMUSK(ムスク)という名前で知られており、高級香水の原料に使われるほど香りに薬効があるとされる高貴薬ですが、漢方的にいうと香りの効果でストレスで滞った「気」の流れを、速やかに整えてくれます。このため、中国などでは、睡眠障害に対しては「薬枕」といって麝香(じゃこう)を枕の中に入れて眠ると良いとされているほどです。

日本でも古く江戸時代から、この麝香を主成分にした気付け薬として感応丸(かんのうがん)などの処方が作られていましたが、ストレスの充満する現代社会に於いて、その必要性はますます高まっています。

漢方マルヘイ薬局では、ストレスの影響で、昼間に表2のような症状が出たり、夜中にはっとして目が覚めたりする方には、良質な麝香を配合した感応丸処方を始め、お客様の体質にあった漢方処方を選ばせて頂きますので、お気軽にご相談下さい。

おすすめの漢方薬

・救心感応丸氣(きゅうしんかんのうがんき)
・虔修感応丸(けんしゅうかんのうがん)
・敬震丹(けいしんたん)
・酸棗仁湯(さんそうにんとう)
・加味帰脾湯(かみきひとう)

 など

1ヶ月分のご予算

12,000円~28,000円

「疾患・症状と漢方薬」に関するFAQ

Q:西洋医学的な病名にあった漢方薬を服用してますが効きません。


A:漢方薬の効能は西洋医学的な言葉で書かれていますので、病名が合致しててもその漢方処方が本来使用されるべき体質でなければ効果がないばかりか副作用のリスクも増大します。


Q:漢方薬と西洋薬の併用に問題はないですか?


A:漢方薬と西洋薬との相互作用についても注意する必要があります。ご相談の際には服用中の西洋薬やサプリメントをお教え下さい。