漢方から見た不妊症

一般的に不妊症の定義は、2年間避妊していないのに妊娠しないこととされていますが、25歳から45歳までのカップルの内、10組に1組の割合で不妊症で悩んでいるといわれています。最近では、人工授精や顕微受精など先端的な分野も一般化しつつありますが、費用がかかる割には期待するほどの結果がでていないのも事実です。

漢方は長い歴史の中で、最大のテーマとして「不老長寿=老化予防」と「子孫繁栄=不妊治療」を追い求めてきたといっても過言ではなく、不妊症でお悩みの方は是非とも漢方の考え方を取り入れてみられることをお勧めいたします。

代表的な不妊症のタイプ

・腎陽虚タイプ
生命の根源といわれる「腎」のパワーが弱く、精血が不足しているタイプで、元気がなく、手足が冷えて寒がる。頻尿または、尿量が少ないなどの症状を伴います。また、普段から月経周期が長く、あるいは無月経であったりします。

・腎陰虚タイプ
「腎」の陰血および精血が不足し、卵巣や子宮を養えないタイプで、のぼせ、ほてり、寝汗などの自覚症状を伴います。また、月経に関しては周期が短くなるか、人によっては長くなりますが、いずれにしても経血量は少ないというタイプです。腎陽虚、腎陰虚両タイプでは西洋医学的な診断では卵巣機能障害と診断されることが多いです。

・肝欝タイプ
ストレスなどで気の流れが滞ることによって、西洋医学的には卵子や受精卵の卵管通過障害を引き起こしているタイプです。普段から、憂鬱、イライラ、怒りっぽいなどの精神症状が多く見られるタイプです。

・痰湿内停タイプ
色白でぽっちゃりとして、疲れやすいといった方で、むくみやすく胃腸の調子も良くないタイプです。また、普段から帯下を伴うことが多いタイプです。体内に余分な水分をかかえており、西洋医学的には卵管水腫による卵管通過障害と診断される事の多いタイプです。

不妊症の周期療法

周期療法とは、ここ30年ほど前から中国で取り入れられている方法で、ずっと同じ漢方薬を服用するのではなく、「月経期」「卵胞期(低温期)」「排卵期」「黄体期(高温期)」の4つの時期に分けて薬を使い分けるのが特徴です。具体的には個人個人によって、使われる薬は違いますが基本的には以下の通りです。

「月経期」・・・

不要になった子宮内膜や月経血を速やかに体外に排泄するための処方を使います。

「卵胞期」・・・

卵子の成熟を促すとともに、受精卵が着床しやすいように子宮内膜を厚くするための処方を用います。

「排卵期」・・・

卵子がスムーズに排出され、卵胞を速やかに黄体化させるための手助けをする処方を用います。

「黄体期」・・・

子宮内膜の分泌を促進し、受精卵が着床しやすくし、更に着床した受精卵に十分な栄養を送り込むための処方を用います。

以上の考え方を基本にして、基礎体温表などを参考にしながら妊娠に向けて体を整えていくというものです。

妊娠してからのことも考えて

不妊症でお悩みの方はどうしても、妊娠することだけに意識が集中すると思いますが、妊娠してからのことも考えておく必要があります。具体的には、妊娠してから出産までの間、胎児に栄養を与え続けなくてはならないわけで、母胎に十分な栄養(漢方では「血」と「精」)がないと、せっかく妊娠しても無事に出産することが難しくなります。

このため、特に「血」の不足しがちな方(漢方では「血虚」とよびますが、必ずしも西洋医学的な検査で貧血でなくても、漢方的な診断で血虚のこともあります)は、不妊症であろうと無かろうと十分な「血」を補っておくことが重要です。

おすすめの漢方薬

・婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)
・参茸補血丸(さんじょうほけつがん)
・逍遙散(しょうようさん)
・霊鹿参(れいろくさん)
・五積散(ごしゃくさん)
・温経湯(うんけいとう)
・参苓白朮散(じんれいびゃくじゅつさん)

 など

おすすめの健康食品・サプリメント

・神仙長寿丸(しんせんちょうじゅがん)
・プラセンタエキス
・晶三仙(しょうさんせん)

 など

1ヶ月分のご予算

8,000円~30,000円

「疾患・症状と漢方薬」に関するFAQ

Q:西洋医学的な病名にあった漢方薬を服用してますが効きません。


A:漢方薬の効能は西洋医学的な言葉で書かれていますので、病名が合致しててもその漢方処方が本来使用されるべき体質でなければ効果がないばかりか副作用のリスクも増大します。


Q:漢方薬と西洋薬の併用に問題はないですか?


A:漢方薬と西洋薬との相互作用についても注意する必要があります。ご相談の際には服用中の西洋薬やサプリメントをお教え下さい。