漢方から見た眼精疲労

最近のパソコンの普及と使用時間の長時間化から、眼精疲労に悩まされる方は増加しています。

漢方理論では「目」は、五臓六腑の「肝」とつながっているとされ、「肝」の状態は「目」に反映されると考えられています。反対に、「目」を酷使すると「肝」(自律神経とも深く関連しています)に影響するとも考えられています。長時間のパソコンの使用が、目だけでなく自律神経にも悪影響をあたえるのもこのためです。

また、加齢による目の問題は「腎」と関連が深く、また、漢方の理論(五行説)では、「肝」は「木」、「腎」は「水」に相当し、「水」(=「腎」)は「木」(=「肝」)を養う関係になりますので、いずれにせよ「目」は「肝」と「腎」の両方と深く関係しています。

主な眼精疲労のパターン

1)「肝鬱気滞(かんうつきたい)」~ストレスタイプ
ストレスが原因で、自律神経と関係の深い「肝」の機能低下を起こし、「肝」とつながっている「目」の機能が低下するというタイプです。

特徴としては、イライラ、憂うつ感をともなうほか、脇や胸に張りがある、ため息が出やすい、ストレスが強くなると増悪するなどです。

2)「肝血虚(かんけっきょ)」~血液不足タイプ

「目」を酷使することで、「肝」にたくわえられている「血」を消耗したり、もともと貧血気味であったりして、「肝」に十分な「血」が存在しないと、「肝」の機能低下をきたして、「肝」とつながっている「目」が「よく見えない」という事になります。

特徴としては、普段から貧血気味の方や、目の乾燥感、顔の艶がない、爪がもろい、肩こり、筋肉が引きつりやすいという症状を伴います。

3)「肝腎陰虚(かんじんいんきょ)」~ハードワークタイプ

老化や過労により、「腎」にたくわえられている「精」を消耗し、また、パソコンを長時間使用するなど、目を酷使して「肝」にたくわえられている「血」を消耗することで、「肝」と「腎」の両方がオーバーヒートした状態で機能低下をきたしたものです。

特徴としては、眼精疲労の他にも目の乾燥感、かすみ目、視力の低下などを伴い、耳鳴りやふらつき、口の渇きや皮膚の乾燥、膝や腰のだるさ、足の裏や手のひらにほてりを感じるといった症状を伴います。

4)「腎陽虚(じんようきょ)」~エネルギー不足タイプ

老化などにより、人間の生命エネルギーの根源である「腎」の熱エネルギーが衰えることで発生します。

特徴としては、目が見えにくい、暗く感じる、視力低下のほか、寒がる(特に下半身)、手足が冷える、足腰がだるい、夜間に尿量が増えるという症状を伴います。

以上、眼精疲労でよく見られる、いくつかのパターンを挙げましたが、現代社会においては、かつて人類が経験したことがないくらい目に負担がかかります。

漢方薬局の立場から見た場合、パソコンやテレビゲームから最近のパチンコや携帯電話に至るまで、ディスプレイ画面を「一定の距離」で「長時間」、「意識を集中して」見続けるという行為は、「肝」だけでなく「腎」も消耗しますので、圧倒的に�Bの「肝腎陰虚」パターンの方が多いと思います。(昔は、生命の根源とも呼ばれる「腎」に問題があるというのは、先天的な虚弱体質や、慢性病が長引いたり、かなり老化が進んだというケースでないとあまり見られませんでした)

漢方薬が、目薬やブルーベリーよりも決定的に優れているのが、実はこの「腎」を補うという点で、眼精疲労だけでなく、めまいやふらつき、耳鳴り、足腰のだるさといった症状も同時に改善することができます。

また、目の血管というのは、血管の中でも極めて細く、血の流れに問題のある(漢方では淤血(おけつ)と呼ばれます)方は、眼精疲労に限らず、目の機能低下や障害が発生しやすくなりますので、淤血(おけつ)を伴う場合は、血液がサラサラに流れるようにしていくことも重要になります。

おすすめの漢方薬

・冠元顆粒(かんげんかりゅう)
・冠脉通塞丸(かんみゃくつうそくがん)
・逍遥散(しょうようさん)
・杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)
・八味地黄丸(はちみじおうがん)
・婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)
・補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

 など

おすすめの健康食品・サプリメント

・天眼(てんえん)
・枸杞の原液
・ワタナベオイスター(ゼリー、ドリンク)

 など

1ヶ月分のご予算

6,000円~12,000円

「疾患・症状と漢方薬」に関するFAQ

Q:西洋医学的な病名にあった漢方薬を服用してますが効きません。


A:漢方薬の効能は西洋医学的な言葉で書かれていますので、病名が合致しててもその漢方処方が本来使用されるべき体質でなければ効果がないばかりか副作用のリスクも増大します。


Q:漢方薬と西洋薬の併用に問題はないですか?


A:漢方薬と西洋薬との相互作用についても注意する必要があります。ご相談の際には服用中の西洋薬やサプリメントをお教え下さい。