漢方から見た貧血

貧血と一口に言っても、西洋医学的には、最もよく見られる鉄欠乏性貧血から骨髄など造血組織に異常のある再生不良性貧血、白血病、溶血性貧血など重篤なものまで様々です。ここでは特に重篤な疾患をかかえているわけではない、一般的な貧血について漢方的に解説します。

まず、「貧血」という言葉ですが、漢方では「血虚(けっきょ)」とよばれる状態で、血液検査で赤血球の数が少ないという事だけではなく、赤血球が足りていても、漢方的に見て、その方に十分な「血」がないという状態も含みます。

まず、漢方の立場から「血」はどこで作られるかというと、基本的には

1)「食べ物」から脾胃(胃腸)の働きで「血」がつくられる

2)「腎」におさめられている「精」という物質が「血」に変化する(「精血同源」)

の2通りしかなく、結果として「血虚(貧血)」の原因は

A)「食べ物」に問題がある(「医食同源コーナー」参照)

B)脾胃(胃腸)の機能に問題がある(「漢方薬と胃腸の症状」参照)

か、もしくは

C)出血している(女性の方の月経過多も含む)

ということになります。

その他、生命の根源物質である「精」を消耗して血虚(貧血)となるケースは、慢性病や老化、あるいは抗ガン剤などの影響(骨髄抑制)などが挙げられます。また、淤血(おけつ)とよばれる血液の流れが停滞した状態になると新しい「血」が生じにくくなるという事もあります。

一般的な貧血で一番多い原因は、飲食の不摂生か胃腸機能の低下ですが、胃腸機能の低下を放置したままでは、いくら鉄剤やアミノ酸製剤などを服用したり栄養のあるものを食べても、なかなか「血」は増えません。

また、女性の方では、胃腸の機能低下は「脾不統血(ひふとうけつ)」という状態になりやすく、月経過多の原因の一つになり、体内から余分な「血」を失い、更に貧血がすすむと言うことになりかねません。(※一般的には、血虚(貧血)の女性の方の生理の状態としては、周期が長くなりやすく、なおかつ経血量も少ない、生理の終わりかけから体がだるくなるという事が多いのが普通ですが、「脾」の「気」のエネルギーの低下が強い場合は、例外的に周期が短くなったり、経血量が増えることがあります)

では、胃腸機能の低下とはどういった自覚症状を伴うかというと

・「おなかがすいたー」という健康的な食欲がわかない

・食後におなかがはる、または眠たくなる

・どうかすると軟便気味(便秘がちでも、最初は硬くても、出だすと軟便である)

上記のうちの2つ以上当てはまる場合は、いくら胃の粘膜にポリープや炎症がないからと言っても漢方では治療の対象になります。

尚、貧血(血虚)の方は「血」の不足から「心」や「肝」にからんだ症状が出やすくなります。以下に貧血(血虚)の方に見られる典型的な症状を挙げておきます

・「心血虚」

不眠(寝付きが悪かったり、寝ていてもよく目が醒める、夢をよく見る)、ちょっと動いただけでも動悸がしやすい、めまいやふらつき、不安感や物忘れしやすくなるという症状がでます

・「肝血虚」

お肌や髪の毛につやがない、爪がわれやすい、目がかすむ、眠りが浅い、筋肉がひきつりやすい、手足がしびれやすいなどの症状がでます。

おすすめの漢方薬

・加味帰脾湯(かみきひとう)
・冠元顆粒(かんげんかりゅう)
・帰脾湯(きひとう)
・香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)
・参茸補血丸(さんじょうほけつがん)
・酸棗仁湯(さんそうにんとう)
・四物湯(しもつとう)
・十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
・人参養栄湯(にんじんようえいとう)
・婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)

 など

おすすめの健康食品・サプリメントなど

・ワタナベオイスター(錠剤・ゼリー・液)
・元気善玉の素(乳酸菌生成物)
・亀鹿仙(きろくせん)
・ビイレバーキング(医薬品:アミノ酸製剤)
・ユースP錠(医薬品:プラセンタ製剤)

 など

1ヶ月分のご予算

6,000円~15,000円

「疾患・症状と漢方薬」に関するFAQ

Q:西洋医学的な病名にあった漢方薬を服用してますが効きません。


A:漢方薬の効能は西洋医学的な言葉で書かれていますので、病名が合致しててもその漢方処方が本来使用されるべき体質でなければ効果がないばかりか副作用のリスクも増大します。


Q:漢方薬と西洋薬の併用に問題はないですか?


A:漢方薬と西洋薬との相互作用についても注意する必要があります。ご相談の際には服用中の西洋薬やサプリメントをお教え下さい。