漢方から見た大人のにきび

思春期に皮脂の分泌が活発になってできる普通のニキビはあるていど仕方ないとしても、女性に多く見受けられますが、大人になってからニキビに悩まされているという方は、漢方的には体内に余分な「熱」が発生しているか、五臓六腑の中の皮膚と関連の深い「肺」やストレスの影響を受けやすい「肝」、「脾胃(胃腸)」の不調が関わっています。

またニキビの発生には生活スタイルが影響することが多くあり、具体的には次に挙げる要因が関係しています

■ストレス

女性の方は、排卵後から生理までの期間は黄体ホルモンの分泌が活発になり、皮脂の分泌を増加させます。ストレスの影響で、生理前に胸や脇が張ったり、体内に余分な熱も発生しやすくなり、余計にニキビが発生しやすくなります。

■便秘

漢方薬の理論では「大腸」と「肺」が裏表の関係にあることから、便秘は「皮毛をつかさどる」といわれる「肺」に「熱」が伝わり、肌荒れやニキビの悪化要因になります。

■飲食

辛いものや、脂っこいもの、お酒などの過度の摂取は体内に余分な熱を生じさせるばかりか、「肌肉をつかさどる」といわれる「脾(胃腸)」の機能に悪影響を与えます。

■睡眠不足

お肌の潤いは、夜間に作られます。夜更かしや、睡眠不足は乾燥肌の原因になるばかりか、昼間余計にイライラしやすくなって、お肌のコンディションに悪影響を与えます。

■その他

紫外線やエアコンによる乾燥なども肌荒れ(ニキビ)の原因となります。

漢方薬局の立場から見た場合、ニキビができやすい方のタイプを以下のように分けて考
えます。読んでいただくとわかりますが、ニキビは何も局所的な問題ではなく、ニキビの治療を進めていく上で、その原因となっている体質も同時に改善していきます。

「肺」に熱があるタイプ

漢方では「肺」は、皮毛~体表部の皮膚と汗腺とつながりが深く、「肺」に余分な熱がこもりやすい人は、その熱の影響でニキビが発生します。

特徴としては、鼻の周囲にニキビができやすい、普段から鼻やのど、口が乾燥しやすい、冷たい飲み物を好む、便秘であるという方です。

漢方薬としては、「肺」の熱をさます作用のある処方などを用います。

「胃」に熱があるタイプ

激辛の食べ物や、食べ過ぎなどによって「胃」に熱がこもり、その熱が顔面の皮膚に影響してニキビが発生します。

特徴としては、粟粒大で赤いニキビで、口の周囲に良くできる、普段から食欲が極めて旺盛である、口臭が気になる、便秘がちで口も乾燥しやすく冷たいものを好むという方です。

漢方薬としては、「胃」の余分な熱をさます処方で対応しますが、普段の食生活の改善も必要です。

「血」に熱を持っているタイプ

ストレスの影響で、「気」の流れが滞ることなどにより、五臓六腑の「心」や「肝」に熱が生じて、結果的に「血」に熱がこもって発生するニキビです。

特徴としては、普段から赤ら顔であったり、顔がほてりやすい、尿の色が濃い、便秘という方で、口や鼻の周辺または、眉と眉の間に赤いニキビが発生します。また、女性であれば月経前に悪化しやすくなります。

漢方薬としては「血」にこもった余分な熱をとる処方を中心に使いますが、精神的ストレスの影響を強く受けている場合には「気」の流れを良くする処方を組み合わせます。

「淤血(おけつ)」~「血」の滞りタイプ

慢性的なストレス状態や、他の慢性疾患などが原因で「淤血(おけつ)」とよばれる、「血」の流れが停滞した状態になり、お肌に「血」の栄養分が行き届かなくなって発生するタイプです。

特徴としては黒ずんだ色のニキビで、ニキビ以外にも色素沈着や目の下にクマができやすいという方です。また頑固な肩こりがあったり、女性の方であれば、子宮筋腫や月経痛、経血の中に血の塊が混じるということが多いのも「淤血」タイプの特徴です。

漢方薬としては、「血」の流れの滞りを取り除いて、お肌にきれいな「血」が巡るようにする処方を用いますが、このタイプの方は体質を改善するのに最低でも3ヶ月はかかります。

虚弱タイプ

何らかの理由で、「気」も「血」の量も少ない、漢方で言う気血両虚(きけつりょうきょ)という状態の方で、お肌に「気」も「血」も巡らなくなってニキビが発生するというタイプです。

特徴としては、あまり赤味のない、しろっぽいニキビで、ニキビの内部が化膿しやすいもののつぶれにくく、いつまでも消えにくいということが挙げられます。体質的には、普段から疲れやすく、貧血気味で胃腸の調子もあまり良くなく、どちらかというと軟便気味というタイプです。

漢方薬としては、不足している「気」と「血」を補うという処方を用います。

おすすめの漢方薬

・温清飲(うんせいいん)
・加味逍遙散(かみしょうようさん)
・冠元顆粒(かんげんかりゅう)
・冠脉通塞丸(かんみゃくつうそくがん)
・イスクラ健脾散(けんぴさん)
・参苓白朮散(じんれいびゃくじゅつさん)
・調胃承気湯(ちょういじょうきとう)
・補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
・清営顆粒(せいえいかりゅう)

 など

おすすめの健康食品・サプリメント

・元気善玉の素(乳酸菌生成物)
・サメミロン
・サメミロンスプレー
・田七人参(でんしちにんじん)
・ナノ型乳酸菌
・乳酸菌FK-23製剤

 など

1ヶ月分のご予算

6,000円~15,000円

「疾患・症状と漢方薬」に関するFAQ

Q:西洋医学的な病名にあった漢方薬を服用してますが効きません。


A:漢方薬の効能は西洋医学的な言葉で書かれていますので、病名が合致しててもその漢方処方が本来使用されるべき体質でなければ効果がないばかりか副作用のリスクも増大します。


Q:漢方薬と西洋薬の併用に問題はないですか?


A:漢方薬と西洋薬との相互作用についても注意する必要があります。ご相談の際には服用中の西洋薬やサプリメントをお教え下さい。