日本の「食」は安すぎる

Photo_2 関係者の多くの本音だと思いますが、なかなか誰も言い出せなかった事を題名にした本書は、やまけんの出張食い倒れ日記でもお馴染みの山本謙治さんの新刊です。

 いつでもどこでも安価にものが食べられるというのはすばらしいことですが、それを支えているのは遺伝子組み換え植物や農薬、ポストハーベスト漬けの輸入食料品、食品添加物、化学調味料などであることは、「当たり前」のことです。

 そういった食品に慣らされた現代人にとっては、いくら一時的に食品添加物や農薬の問題が取りあげられたとしても、圧倒的多数の消費者は食品に対して「安価」であることを望むという現実に対して、その問題点を豆腐や卵、肉やハムなどの例を具体的に挙げながら問題提議し、最終的には消費者の行動が日本の「食」を支えることになるとしています。

(山本謙治著、講談社+α新書、2008年3月20日初版)
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 本書では某大手ハンバーガーチェーンの実名を挙げて「安すぎるハンバーガーはちょっと怖い。それが食べ物といえるのかどうかというレベルで怖いのだ。」とか、食品加工業界にいる友人のセリフとして「安いってことは、どこかにしわ寄せがいってるってことだよ。で、どこにしわ寄せがいくかといえば、食品の場合は、だいたい人の身体さ」などが紹介されており、よくぞ書いてくれたと思います。

 もちろん日本の「食」は安すぎるからといって、高ければよいとか、高いものが良いものだと言うものでもなく、「本来の食べ物」を知ることと、消費者が、それを正当に評価できるようになることが必要だというのが著者の最も言いたいことだと思います。ただし、個人的には、現状を考えるに、年々そのことが難しくなる一方だとも思います・・・

 
 

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