医者を信じると病気になる

Photo  著者の丁宗鐵先生は漢方に詳しいお医者さんで、現在は東京女子医科大学の特任教授、日本未病システム学会常任理事なども務めておられます。

 副題に「常識」破りの養生法とありますが、この「常識」は現代医学の「常識(というか、現代人の多くが思いこんでいること」を指しています。

 著者は、まず自分自身の体質を知ることが重要であるとし、せめて漢方でいう実証タイプと虚証タイプのどちらであるかを認識した上で養生なり病気の治療を考えるべきであるとしています。要するに、自分の体質を無視して、画一的な治療や養生法を行うのは問題であるということです。

 本書の中にわかりやすい例えとして、他人に似合う服が自分にも似合うとは限らないと書かれていますが、そういう当たり前のことが今までなおざりにされてきたとも言えます。ところが、遺伝子治療に注目が集まるとともに、西洋医学もやっと個人個人の体質に注目をしだして、オーダーメード医療の方向性がはっきりしてきたことは、とりもなおさず漢方の考え方こそが最先端であると著者は指摘しています。

 目次をいくつか紹介すると「あわない健康法は毒になる」、「冷たくして飲む健康茶は逆効果」、「アレルギーは腸の病気」、「頭痛の多くは本当の頭痛ではない」、「ガン患者の多くは元気な人」など長年の臨床経験を元に漢方的な側面からわかりやすく解説されています。

(講談社+α新書 2009年2月20日発行 838円(税別))

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 本書でも随所に書かれていますが、人に合うから自分にも合うとは限らないのは、当たり前のようでいて、意外と認識されていないと思います。

 これは、西洋以上に西洋医学一辺倒できた日本の医療の中で、体質面が考えられることなく、症状や病名に対して自動的に治療法や薬が決まる仕組みに慣らされてきた結果のような気がします。

 ただ、本書でも触れられていませんが、よく世界の長寿地域では・・・が食べられているといった時に、体質以前に、その土地と日本の環境の違いも考慮に入れる必要があるほか、自分の体に合っているからと言って、季節によっては合わないこともあります。

 漢方では三因制宜と呼ばれますが、その人の体質が重要なのはいうまでもないことですが、その他にも天の時(季節)や土地の環境なども考慮に入れて最良の治療法が決まるということです。また、本書では体質面を日本漢方の実証や虚証に分類していますが、現在、中国でも主流の考え方~中医学では、もっと細かく体質面を分類して考えます。

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