無意識の不健康

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 「健康は多数決で決まるのではないが、本書では、実際には不健康であるに、他の人と同じような状態であることで、なんとはない安心感が得られているような場合を「無意識の不健康」として取りあげている。」という本書は、戦後の食生活をはじめとした生活全般の欧米化が、若者をはじめ多くの日本人の健康に悪影響を与えていることを様々な角度から検証しています。

 あまりにも一般化しすぎて誰もそれを不健康であるとも認識していない「無意識の不健康」として、
・若者の体格は向上しても、年々「体力が低下」している
・「便秘」〜肉食、ダイエット文化にしか見られない異常
・「視力」〜大学生の視力平均0.18は正常か?
などのほか、若い人の意識では生理痛があるのが当たり前であるとか、離乳食や生殖医療の問題などを挙げています。

 また、現代日本の医療や栄養素至上主義の栄養学にも問題があるとして、
・日本ほど西洋医学一辺倒の国はない
・欧米化した死因で死ぬのが幸せか
・衛生統計に惑わされる健康観
・異常ばかりに関心を持つ教育
など医学教育に於いても西洋以上に西洋医学一辺倒である事の問題点も指摘しています。

 本書では指摘されていませんが、「無意識の不健康」ということでは、花粉症などの蔓延も日本人が弱体化したことが原因であると考えられます。本書の著者である島田彰夫博士が一貫して指摘されていることは、明治以降の様々な分野に於ける欧米化の流れが、日本人にとって最適なものであるかどうかという検証を抜きにして、極めて短期間の内に導入されていったことが、結果的に日本人の健康にとってマイナス面が大きかったのではないかと言うことです。

 では、どうすればよいのかというと、それはまずヒトであり日本人であることを意識することから始めるべきであるとしています。即ち、日本という国の環境に沿った食生活や居住環境に適合して何千年も生活してきた体にとっては、衣食住にわたって日本の伝統的な姿にもどらなければ解決しないということです。その為にはまず現代の「食」を見直すところから始めるべきであるとし、「ご飯と味噌汁は2〜3倍に、おかずは3分の1に」することがヒトの食性とも調和した食生活となり、もっとも望まれることであると指摘しています。

(島田彰夫「無意識の不健康」、農山漁村文化協会、2000年3月初版)
 

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