フカヒレのスープ

(「知味 竹爐山房」さんのメニューより)

 フカヒレのスープです。今や、フカヒレといえば中華では定番の高級食材ですが、その歴史は意外と新しく、清朝になってから宮廷料理に取り入れられるまでは、殆ど知られていませんでした。もともと清朝の支配者である女真族は、狩猟民族で鳥や獣の肉を好み、魚が大嫌いだったそうで、当初はフカヒレに見向きもしなかったそうです。このため宦官が宮廷の食糧倉庫からフカヒレを持ち出して、北京の料理屋に横流しし、漢民族が好んで食べたそうで、そこから全国に広まったと言われています。

 フカヒレが珍重されるのは、天然のゼラチン質で不老長寿=アンチエイジング効果が期待されてのことで、フカヒレ自体には味は殆ど無く(もともとはサメのヒレを乾燥させたもので、臭みがありますが、むき身にする過程で、長時間かけて臭みを抜いていきます)、上湯(シャンタン)と呼ばれる上質なスープなどと絡めて供されます。

 最近では日本のメーカーが豚の皮からとったゼラチン質を原料に、「人工」のフカヒレなるものを開発し、結構売れているそうです。日本人からすると豚の皮なんてと思われるかも知れませんが、小籠包は豚の皮でとったゼラチン質をさましてから餡と一緒に包んだものですし、傷寒論という書物には豚の皮を主原料にした「猪膚湯」という処方も記載されており、体力が低下した方の慢性の下痢などに用いられていました。

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