わかりやすい漢方講座(38)~ダイエットについて
春の陽気が高まるとともに、ダイエットという言葉が盛んになってきます。最近ではメタボリックシンドロームというのも盛んに取りあげられて、さまざまな漢方薬や特定保険食品が宣伝されています。
西洋医学的な考え方では、摂取カロリーと運動量を問題にし、やたら体重のみを追いかける傾向が見られますが、漢方の考え方では、ダイエットの基本は、もちろん食べ物も重要な要素ですが、根本的には胃腸の機能を整えることが最重要課題になります。
漢方では胃腸の機能は、食べ物を消化して、体に必要な栄養素を取り込むと共に、不要な物を排泄するという事を行っています。また、全身の水分代謝にも大きく関係しています。
この事は、胃腸の機能が低下した状態では、排泄されるべきものが排泄されなかったり、不要な水分が体の中に溜まりやすくなり、結果的に「太って」見えるようになると考えます。
胃腸機能が良くなると、かえって太るのではないかと思われますが、要は健康的で「締まって」見える事が重要なわけで、無理なダイエットをして筋肉が落ちて、体重の数字だけが低下する事よりもはるかに美しくなると思います。
胃腸の状態の中でも便通に関しては、軟便がちな方は水分代謝が悪くて、むくみやすくなっているケースが多く、便秘がちな方は体の芯に熱がこもって堅太りしやすくなります。いずれにせよ、便通の改善だけではなく、漢方薬で胃腸のコンディションを整えることがダイエットの第一歩です。
因みに、健康的な胃腸の状態は
・健康的な空腹感がある
・食後、もたれたり眠くなったりしない
・便通に関して、便秘でも軟便でもない
という事で、漢方では、胃カメラの検査で胃の粘膜に異常があるかどうかといった事よりも、こういった自覚症状を重視します。