わかりやすい漢方講座(37)~春のストレス
春は漢方理論ではストレスを受けやすい季節とされています。主には「怒」というタイプのストレスで、これは「奴」の「心」、即ち自分の思い通りにならないという奴隷の心を指します。実際に怒りっぽくなりやすいのは事実ですが、周りに当たり散らすことなく、内面でイライラがつのるという事の方が多く、外見からはわかりにくいかも知れません。
このタイプのストレスの影響は、まず「気」の流れの滞りを生じますが、同時に「筋膜」の緊張も生み出します。「筋膜」というのは、それが重なれば「筋肉」、筒状になったものが「血管」や「消化管(胃腸)」で、これらが緊張しやすくなります。
具体的には、肩こり、腰や背中の筋肉が硬くなる、足がつりやすくなるなどのほか、血管が緊張すれば血圧が上昇しますし、胃腸が緊張すればおなかの張りやゲップ、ガスなどが増えます。女性の方ですと、生理前の胸の張りが強くなったりもします。また、もともとこれらの症状をお持ちの方は、これらの症状が強くなります。
春は、日本では入学や人事異動など生活環境が変化しやすい時期と重なることから、特にストレスをうまく発散させることが重要になってきます。漢方の養生法としてお勧めなのは、
・暖かい日には公園などを散歩して、自然の「気」を体に取り入れる
・食べ物は香味野菜や柑橘類、ミント類など香りの良いものを摂るようにする
・何か具体的な楽しみ?映画鑑賞、食事会など?を作る
などですが、重度のストレスにさいなまれているときには、「感情的に涙を流す」というのがお勧めです。
因みに、ストレスが主な原因で生じる体の不調は「日によって症状が強くなったり弱くなったりする」または「日替わりでいろんな症状が出てくる」というのが特徴になります。思い当たる方は、とりあえず上記の養生法を試してみて、それでもだめなら安定剤などに手を出す前に、「気」の流れを良くしてくれる漢方薬などの服用をお勧めします。