酸辣湯



 四川料理の一つである酸辣湯(スワンラータン)です。名前の通り、酸っぱいお酢と辣油など唐辛子(中国語では「辣椒(ラージャォ)」の辛さの組み合わせからなるスープです(北京などでは唐辛子の代わりに胡椒が使われることもあります)。

 漢方理論では酸味は収斂作用があり、酢の薬効としても下痢止めの作用と魚や肉の毒を解くという薬効が、また、辛味の作用としては気の巡りを良くする作用があり、唐辛子の薬効としては胃腸を温めるだけでなく、消化力を高めるほか、抗菌作用も認められています。もちろん、酢も唐辛子も摂りすぎはかえって胃腸に負担となりますが、適度に摂る分には胃腸には良い組み合わせであるといえます。

 因みに、酸味と辛味の組み合わせでは、タイ料理のトムヤムクンが有名ですが、四川省やタイのように湿気の多い地域は、漢方理論では胃腸の機能低下を起こしやすいので、これらの地域で酸辣湯やトムヤムクンなどが食べられているというのは理にかなっています。

 また、湿気が多いというのは日本も同じですが、肉食の習慣が長らく途絶えていた日本人の食習慣から考えると、その刺激に耐えられるほど日本人の胃腸が丈夫であるとは考えられないので、唐辛子はあまりお勧めの食材であるとは言えません。

 更に付け加えるならば、花粉症で目が痒くなる人は唐辛子類を多く摂ると、その痒みが悪化する可能性があります。

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