中国沿海に棲息するふぐは、産卵期になると沿海部から河をのぼっていく習性があるそうで、そこからふぐ=河豚と書かれるようになりました。もっとも、日本で食べられているふぐとは品種が違うようです。
さて、ふぐの薬膳的な効能としては、胃腸を温めて、その機能を高めるほか、痔などにも良いとされています。また、ふぐ毒についてはエサやバクテリアが関与して、ふぐの体内で生成されるというのが定説ですが、詳しいことは未だに分かっていません。もっとも、青酸カリよりも強力なふぐ毒について、医薬品として応用できるのではないかという研究がなされているそうです。
蛇足ながら、柚子胡椒の胡椒は唐辛子のことです。これは、唐辛子が日本に入ってきたときに、その辛さを表現する他の食べ物としては胡椒くらいしかなかった為、そう呼ばれた名残りです。因みに、唐辛子は新大陸が原産で、日本には16世紀の半ばに伝来したそうで、その後、日本から朝鮮に伝わったという説が有力です。よって、意外に思われるかも知れませんが、唐辛子抜きには考えられない、麻婆豆腐やキムチ、カレーなどの食べ物も、その歴史は400年もないという事になります。