舌診(ぜっしん)とは

わかりやすい漢方講座(その13)~舌診とは

 漢方の重要な診断方法の一つに舌診(ぜっしん)というものがあります。読んで字の通り、舌の状態を観察して体内の状態を判断するものですが、主には以下の事を観察します。

・舌の色・・・主に赤味の程度を見ます。また舌先だけとか舌の縁の部分だけが赤いといったことも判断材料になります
(淡紅色が基本で色が薄いのも濃いのも問題があります)

・舌の形状・・舌が小さいとか大きい、また舌の周囲に自分の歯形の跡が付いていないか、表面がひび割れていないかなどを見ます

・舌の苔・・・苔が薄いとか分厚い、一部だけに見られるといったことや苔の色(白?黄色など)、苔が湿っているか乾燥しているかなど
(前面にうっすらと白い苔が付いているのが正常です)

・舌の裏・・・舌の先端を軽く上の前歯の内側にふれるようにした時に、舌の裏にある2本の静脈の状態を見ます
(舌の裏の静脈が紫色にくっきりと見えるのは淤血(おけつ)です)

 漢方では「舌は体の鏡」という言葉があるほど、これら舌の状態を観察することで、体内に「気」や「血」、「水(津液)」が足りているか不足しているのかとか、血液の流れが良いのか悪いのかと言ったことが判断できます。

 更には、舌の場所によっても五臓の状態を判断する手がかりになります(舌の先端部は「心」、側面は「肝」など)

 また、特に舌の苔の状態は体内の水分(津液)の過剰(苔が分厚くなる)や不足(苔が少なかったり、無かったり、苔がまだらに付いている)の状態を反映しますが、苔が分厚いからと言ってタンクリーナーのような器具を使って、せっせと苔を取っても、体内の状態が正常化しない限り苔は薄くなりません。そればかりか、こすりすぎると舌の表面にある味蕾などを傷つけることにもなります。(因みに、舌の苔が分厚くなる原因で最も多いのが、水分摂取の過剰もしくは胃腸機能低下による水分代謝障害です)

 舌の状態なんて生まれつきだと思っておられる方が多いですが、決してそんなことはなく、体の中の健康状態を反映して変化していきますので、適切な漢方治療で体の状態が良くなれば、舌の状態も改善していきます。

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