わかりやすい漢方講座(その3)~「六淫」とは
今回は、漢方の世界で考える、病気になる原因についてです。現代社会では、病気の原因としてウイルスや細菌などがクローズアップされがちですが、漢方では病気になる原因として「外因」「内因」「不内外因」の3つに分けて考えます。
まず、「外因」とは、自然界に於ける環境因子のことで、現代風に言えば「気温」「湿度」「気圧」の3つの影響を指します。ただし、漢方では、この自然環境因子を6種類に分けて、「六気」と呼んでいます。
すなわち、「風・寒・暑・湿・燥・火」の六つですが、字の感じからだいたいの意味はわかると思いますが、これらの環境因子が過度に人体に影響を与えるか、または、人体が弱っているときに、その隙に乗じてこれらが侵入してくると発病するという捉え方をします。(反対に言えば、人体が健康であれば、少々のことではこれらの影響を受けることはないということです)
また、これら六気と呼ばれる環境因子が、人体に害を及ぼすときに、「六淫(りくいん)」とよび、それぞれの字に「邪」という字がつきます。→「風邪・寒邪・暑邪・・・」
ところで、「風邪」と書いて、漢方の世界では「ふうじゃ」と読みますが、世間一般では「かぜ」と読みます。六淫のひとつである「風邪(ふうじゃ)」は、概念としては、「主に上半身に、突然影響を与えて、症状が遊走性である」という特徴を持っており、かぜやインフルエンザなどから、花粉症やじんましん、頭痛などの疾患の原因となります。
この風邪(ふうじゃ)によって引き起こされる代表的な疾患が「かぜ」ですので、「風邪」と書いて「かぜ」と呼ぶようになったものですが、ついでに言うと「かぜ」を「引く」という言い方も漢方ならではの発想をあらわしています。
つまり、「かぜを引く」という言い方には、かぜのウイルスなどが問題ではなく、不養生などで、それを体に引き込んでしまったところに問題があるというニュアンスが含まれています。
同じように、風邪(ふうじゃ)によって引き起こされる花粉症なども花粉そのものの問題よりも、「衛気(えき)」と呼ばれる体のバリア機能がしっかりしていない事が発症の原因という捉え方をします。
(次回は、「内因」と「不内外因」についてです)