大海老と黄ニラ、香菜炒め

   久々に中華らしいメニューだと思われるかも知れませんが、何をもって中華料理と呼ぶかは議論の分かれるところです。

 日本でというか、大阪では中華というと焼き餃子や豚まん、ラーメンとなりますが、中国で同じ物を見つけるのは困難です(似て非なる物はあります)。そのほかにも「天津飯」なる言葉も和製です。

 日本では近世まで豚肉や牛肉、鶏肉などが殆ど食べられることが無く(意外なことに平安時代の初めの頃までは牛は結構食べられていました)、主なタンパク源は魚や大豆が中心であったことで独特の食「文化」が発展してきたと言えますが、中華料理は文化ではなく「文明」だと言われるように、ある意味なんでもありです。

 ただし、そこは医食同源の国ですから、各地域の気候や風土に応じた発展が見られ、同じ中華料理と言っても、例えば四川料理と上海料理では全然違ったものになります。また、同じ地域の人でも、その人の体質や体調、季節によっても「体によい」食べ物は変わってきて当然だという思想が定着しています。

 ところが、西洋医学的な発想というか、日本でもよく見かける光景に「・・・が体に良い」とテレビで言ったら、皆がそれに飛びつくということが繰り返されています。そこでは、個々の人間の体が違うものだという発想はなく、100人に試して何パーセントの有効率があったという確率論の世界で話が進んでいきます。あくまで、個々の人間ではなく「物質」が中心の世界です。

 食べ物ではなく薬の世界でも同じで、どんな薬でも有効率が100%であったり、全く副作用のないものは存在しません。ただし漢方の場合は、同じ病名でもその人の体質や状態によって用いるべき薬が変わってくると言う発想と方法論が積み重ねられてきている点が大きく異なります。

 今後も「・・・は体によい」という情報が乱れ飛ぶと思いますが、そういった話しを聞いたときに「誰にとって良い」のかという視点だけはもっておいた方がよいと思います。

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