ミカンの皮を乾燥させた陳皮(ちんぴ)は、七味唐辛子の薬味としてもお馴染みですが、漢方では「気」の流れを良くする作用があり、胃腸の調子を整える要薬とされています。
また、名前の「陳皮」の「陳」は古いという意味で、古ければ古いほど薬効があるとされています。一般的には、1年?3年程度乾燥させた物が用いられますが、中には10年以上乾燥させたものもあり、価格も相当高くなります。
写真の陳皮は19年物ですが、ミカンの皮を19年間も乾燥させたら味も香りもなくなりそうなものですが、煎じればかなり上品な香りがします。
漢方の考えでは香りが「気」の流れを良くするということですが、「気」とは体の「機能」のことでもあり、「気」の流れがよくなるということは「体の機能」が高まるということにつながります。
年末(?)topics~邪気を払う
明日は、旧暦の1月1日です。報道によると、長らく禁止されていた旧正月の爆竹が北京で13年ぶりに解禁されるそうです。一人あたりの購入量に制限があるそうですが、その量が30Kgまでというのですから、はんぱではありません。
さて、この正月につきものの爆竹ですが、新年を迎えるにあたって爆竹の音と爆風で「邪気を追い払う」のが目的とされています。
ただし、爆竹を鳴らさなくても日本にも古くから定着している「邪気を払う」方法としては、お屠蘇が挙げられます。お屠蘇は香りの強い薬味(桂皮、山椒、陳皮、丁字、茴香など)を組み合わせた「処方」で、香りの力で「邪気を払う」という意味が込められています。
これは、「香り」は目には見えないけど何か「作用」のあるもので、同じく細菌やウイルスも目に見えないものの体に災いをもたらす「邪気」として捉え、「良い香り」で「邪気」を追い払うことができるという考えによるものです。
薬効的には、お屠蘇に使われている生薬などは「芳香健胃」作用のあるものが多く、胃腸の働きを良くすることで、免疫力を高めて病気にならないようにしようということになりますが、漢方の考え方では胃腸の機能を正常に保つことが病気予防の大原則です。