なつめ/ 口臭について

 なつめの実です。漢方薬としては乾燥させたものを大棗(たいそう)と呼び、脾胃虚弱(胃腸機能低下)の改善、貧血気味の方の不眠やイライラを鎮める薬効があり、多くの漢方処方に配合されています。

 また、上品な香りと適度な甘みがあることから中華料理にも応用されています。

週末topics・・・口臭について

 口臭の原因については漢方的に考えると、口腔内の歯槽膿漏や歯周病が原因でおこるもの以外には、胃腸(漢方では脾胃)もしくは肺の機能の乱れによると考えられており、次のようなパターンがよく見られます。

◎胃に問題があって、濁気とよばれるガスが上がってくる

 漢方では「胃」は食物の中から必要な栄養素を取りだした後の不要な部分を下へ下へと降ろしていく働きがありますが、胃に何らかの問題が生じると、本来、下りていくべき濁気とよばれるものが口の方に上がってきて口臭の原因となるパターンで、「胃熱」「胃寒」「食滞」などに分けられます。

「胃熱」タイプ 
 辛い物、あぶらこいもの、お酒などの過剰摂取により胃に熱がこもるタイプで、痛みの強い口内炎ができやすい、ゲップがよくでる、便秘がち、口も渇くという方です。

「胃寒」タイプ

 胃熱と反対に、生ものや冷たいものの過剰摂取により胃が冷やされる結果、胃の機能低下をおこすもので、やはりゲップがでやすく、軟便がちという方です。

「食滞」タイプ
 宴会シーズンに多く見られるパターンで、暴飲暴食が原因で、お腹が張ったり、ゲップやガスがよく出るというタイプです。

◎唾液の分泌が減って、口中のバクテリアが増殖する
 唾液は食物の消化作用とともに、口の中を清潔に保つ働きもありますが、何らかの原因で唾液の分泌が低下すると、口の中でバクテリアが増殖し、口臭の原因となります。

「肝鬱」タイプ
 ストレスが胃腸機能に影響して、お腹が張ったり、ゲップが出やすくなるほか、唾液の分泌も低下し、口が渇きやすいという方です。

「肺熱」タイプ
 気管支炎などで、慢性的に肺に熱がこもることで鼻詰まりなどにより、口呼吸が増えて口が渇き唾液も減少するというタイプです。

 口臭の原因としてはだいたい以上のようなものが考えられますが、タイプによって治療方法も変わってきます。また、よく舌の上についた苔を歯ブラシなどでこすっている方がおられますが、舌の上の苔(舌苔:ぜったい)は体内の状態を反映していることが多く、苔が多いからといって体の中を改善しない限り、こすってもこすってもすぐに出てきますし、舌の上をあまりこすりすぎると味覚障害の原因にもなります。

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