時(正確には、さかなへんに「時」)魚とは、ニシン科のヒラコノシロという名前の魚で、産卵のために毎年決まった時期になると河川にのぼってくるので時魚(シーユィ)と呼ばれています。
揚子江をはじめ上海周辺の河で獲れる魚で、古くは宮廷料理にも用いられていましたが、乱獲やダムの建設などにより近年その数が減少し、幻の魚ともいわれています。
写真ではわかりにくいかも知れませんが、この魚は他の魚と違って、ウロコは絶対に取らずに調理するのが最大の特徴です。
実は、この魚で一番美味しいとされているのが、ウロコの下についている脂肪ということで、大きめのウロコごと口に入れてウロコの裏についている脂肪の部分を味わうというものです。身とウロコの間に脂肪が付いているために、蒸したりするとウロコの部分が浮き上がって、食べやすくなります。
もちろん、身の部分も普通においしいのですが、中華料理の奥深さを感じさせる一品です。