フカヒレは、中華を代表する食材といっても過言ではありませんが、もともとは広東省の一部(潮州など)で食される程度の、ローカルな食材でした。
それが清朝の時代に、献上品として中央に送られるようになったのですが、皇帝をはじめ満州族の習慣として、海産物をあまり食べない為、余剰品となったフカヒレが北京の市中に出まわり、漢族を中心に高級食材として定着していったものです。
また、写真のようなフカヒレ丼やフカヒレラーメンなるものは、いかにも日本人好みで、実際においしいものですが、中国の考え方では、宴席に大事なお客様を招待したときに麺飯ものを出すというのは、失礼だという感覚があって(おなかが一杯になるほどの主菜を出せなかったという事になる)、中国や香港ではあまりお目にかかれない料理です。
週末topics〜熱中症にご用心
大阪は梅雨入りもなんのその、異常なほどの空梅雨状態で、最高気温も30℃を軽く突破する毎日です。(と、書こうとしたら昨日から梅雨らしい天気になりました[E:shock])
さて、先日行われた東京のシティロードレースで熱中症が大量に発生しましたが、これから夏に向けて気をつけなければいけないのは、過剰な発汗と水分補給についてです。
漢方では汗をかくと、汗とともに「気」も一緒に体の中から失われると考えられており、過度の発汗は、体内の水分と「気」が不足する「気陰両虚(きいんりょうきょ)」と呼ばれる状態になります。
この時に、陰分(=水分)が減少して、オーバーヒート状態になるのが熱中症ですが、そこまでいかなくても「気陰両虚」というのは、特に血液の流れに悪影響を及ぼしますので注意が必要です。
漢方の考え方では、体内を流れる血液は栄養物質を運ぶ「舟」に例えられ、陰分である水の上を流れていると考えられています。この時、水(=陰分)が減少することによって、舟である血の流れも悪くなると言うことです。更に、「気は血の帥(きはけつのすい)」と言って、気のエネルギーによって血は流れていると考えられているので、「気陰両虚」という状態は必然的に、血の流れが悪くなってしまいます。
このため、心筋梗塞や脳梗塞といったものも、意外と夏場に多く発生します。
「気陰両虚」にならないためには、暑い時期に屋外でスポーツをする事を控えて、過剰な発汗を防ぐのは勿論ですが、国立環境研究所の調査でも熱中症のうち20%以上は屋内で発生していて、目に見えるような汗が、だらだら流れていなくとも、こまめな水分補給が重要になってきます。
ただし、注意しなくてはいけないのは、冷たい飲み物をガバガバ飲むことで、熱中症は予防できても、今度は胃腸が冷やされて、下痢や夏ばて症状が強くなることです。
このため、漢方ではこの時期に限らず、体質的に「気陰両虚」になりやすい人には、単純に水分ばかりを補給することよりも、体内の「気」と「陰分(水分)」を補ってくれる西洋人参(※)や、生脈散という処方を服用することで対処します。
これらを服用することで、大量の水分を摂取しなくても、熱中症の予防はもちろん、血液の流れもサラサラにすることができ、心筋梗塞などの予防にもなります。
(西洋人参というのは、野菜のニンジンの事ではなくて、清朝の時代、北米大陸から持ち込まれた薬用人参の一種で、一般的な薬用人参が「気」を補いながら体を温める作用があるのに対して、むしろ余分な熱をさましてくれる作用があり、最近では中国でも、生活が豊かな都市部を中心にブームになっています)