枳実(きじつ)とはミカン科のダイダイの未熟な果実を乾燥させたもので、漢方では気の流れを良くする「行気薬」に分類されます。(写真は枳実を刻んであります)
特に脾胃の「気分薬」として用いられ、お腹がつかえたり、張ったりするといった症状に用いられます。
週末topics〜ストレスについて(その4)
今回は七情の「憂」と「悲」です。この二つの感情すなわち憂鬱とか悲しみという感情は、五臓の中の「肺」に影響を与えます。
漢方では気管支や鼻、皮膚など呼吸に関するところは総て「肺」という概念でとらえますが、「憂」「悲」というストレスは咳や痰、声がれなどの症状を誘発しやすくなります。
実際、西洋医学でも成人になってから喘息になる患者さんの多くがストレスが原因であると言われており、このほかアトピー(皮膚も「肺」です)などもストレスとの関連性が指摘されています。
さて、この「憂」「悲」というストレスにとらわれた方に対する陰陽五行説を応用したカウンセリングとしては、「喜」という感情を対応させます。この事に関しては、漢方でなくとも悲しんでいたり憂鬱そうな方には、何か喜んでもらえるような事をしてあげるというのは当たり前のような気もしますが、漢方理論上も正しい対応といえます。
「喜」といえば「笑い」に通じますが、日本の病院でも落語家さんをよんできて、入院しているリウマチ患者さんに落語を聞かせると痛みが和らいだという報告もあります。(痛みの閾値という概念があって、同じ刺激に対してどれくらい痛く感じるかというのは、その人の精神状況などで変化します。)
また、最近の研究では食後によく笑うと血糖値が低下することがわかっており、インシュリン以外にも血糖降下作用を発現するメカニズムがあるのではないかと注目されています。
因みに「肺」の気の流れを良くする食べ物としてはネギ、ニラ、ニンニク、唐辛子、紫蘇、ラッキョウなど漢方の五味でいう「辛」という味のものが挙げられますが、もちろん摂りすぎるとかえって健康を損ないます。