「素菜」とか「素食」というのは、中国の精進料理のことですが、最近は健康ブームとかで香港や上海などでは専門のレストランが結構にぎわっているらしいです。
もともとは仏教的な考え方を背景にして禅宗のお寺などで始まったとされていますが、「食」の国だけあって小麦を練った物などを使って魚や肉料理に似せたモドキ料理が多いのが特徴です。
写真の料理はそういったモドキ料理の中でも有名な「素脆魚善(←本来はさかなへんに善という文字:田ウナギを表す)」という料理で、田ウナギを揚げて甘辛い味付けをした物に似せて作ってありますが、味も食感もかなりそれらしいものです。
では何から作られているかというと、答えは椎茸で、椎茸のかさの黒い部分を田ウナギの皮に見立てそれらしい形に切り素揚げにしてから味付けをしてあります。
インドなどでも宗教的な背景から徹底して命を奪うような食材は例え野菜(※)であっても用いないという人達が多くおられるそうですが、中国の場合は食事を通して殺生を戒めることに重点が置かれているような気がします。
(※:野菜であっても球根などは、それを食べることで新たな生命の芽を摘むことになるとして食べないそうです。)