中華料理の世界ではよく「色香味形(スー・シアン・ウェイ・シン)」という言い方をするそうです。これは、料理の出来映えにおいて重要視する順番を表しており、まず見た目の「色」、次に「香り」、「味」、「形」と続きます。
普通に考えれば、まず「味」ではないかと思いますが(大阪の場合は「味安早」になるはずです)、中国の料理人の世界では宮廷料理人を頂点にしてきた事を考えるとうなずけなくもないです。
さて、写真の料理は上海蟹の甲羅に蟹みそ、蟹肉などの具を入れて上に卵白を泡立てたものをのせて蒸し上げたものです。日本では蟹肉と玉子とじを「芙蓉蟹(フーヨウハイ)」と呼びますが、本来「芙蓉」というのは写真のように卵白だけを用います。
週末topics〜漢方的正しい食養生(その4)
秋も深まってきましたが、日本では「秋ナスは嫁に食わすな」という言い方があります。解釈としては、おいしいからというイジワル系からナスに含まれるアルカロイドがどうのこうのという科学系までいろいろありますが、中国でも全く同じ言い方があるそうです。
ナスというのは、キュウリと共に夏野菜の代表ですが性味は「甘涼」で、薬膳的な効用として「清熱消腫」となっており熱をさます〜体を冷やす作用があります。
すなわち、秋になって冷え込んできた時に体を冷やす食べ物(ナス)をとって「嫁」が不妊症に出もなったら大変だという事を言っているわけです。
女性は一般的に男性に比べて冷えやすく、また冷えることで血の流れが悪くなり生理不順などの血の道症になりやすいとされています。特に生理の間や出産後は「冷え=寒邪」が体内に侵入しやすく、生理中などは冷たい食べ物はもちろん体を冷やす性質のものも口にしない方がよいとされています。
このコーナーでも今まで、日本人はただでさえ「生冷過食」であるという話しをしてきましたが、特に冷え性の人は夏が旬のものを秋や冬に食べるのはひかえた方が身のためです。
ちなみに、中国では夏の暑いときでも「冷たいものを食べて体を冷やす」のはよくないと考えられており、ナスやウリなど「涼」の性質のあるものを普通に料理して(すなわち熱い料理やスープ)食べることで「涼」を「補う」という考え方をします。