胃腸機能に悪影響を与える要因
1) 外的な環境要因
環境因子では「湿邪」と「寒邪」、即ち湿気と冷えが胃腸の機能を悪化させる要因となります。漢方の考え方では「脾は湿を忌(い)む」と言われ、湿気は「脾」の機能~胃で消化された食物から体にとって必要な栄養素を取り出して、全身に運ぶ~に悪影響を与えるとされています。また、機能=「気」=「陽」という原則からすると、冷えは胃腸の機能を低下させます。
2) 精神的ストレス
漢方ではストレスのことを七情といって(喜・怒・憂・思・悲・恐・驚)の七つがあるとされていますが、中でも「怒」と「思」の二つが胃腸に悪影響を及ぼします。「怒」というと現代では「怒り」という意味ですが、本来の字義は「奴(やっこ)」の「心(こころ)」即ち、奴隷のように周囲からあれこれ指図を受けながら、自分の思い通りにならないというストレスを指します。また、「思」とは、既に終わってしまった事やどうしようもないことを、いつまでもあれやこれや考えるというタイプのストレスで、特にこの二つが胃腸に悪影響を与えるとされています。
3)3度の食事のとり方
朝ご飯
朝は「陰」から「陽」に向かう時間帯で、これは日中にかけて内臓も肉体も活動する準備段階のようなものですので、お粥など消化のよい暖かいものを食べるのが基本です。よく朝ご飯はしっかり食べろとか言いますが、朝早く起きて2~3時間も野良仕事をされているなら別ですが、朝起きてすぐに食べるのであれば、そんなに量的に多く食べなくても良いとされています。
昼ご飯
1日のうちで一番豪華にとるのが理想です。昼間というのは最も活動する時間帯ですので、野菜や穀物を中心にして動物性タンパクなども摂るとすれば、夜よりも昼の方が良いとされています。
晩ご飯
あっさりとしたものを中心に腹八分目までにして、あまり食べ過ぎないようにします。夜の時間帯に食べ過ぎてしまうとどうしても長時間にわたり胃腸に負担がかかって、栄養代謝に悪影響を及ぼすほか睡眠の質も低下しかねません。
更にもう一つ重要なことは、食事を摂る時間帯が日によってばらばらというのも、胃腸の機能に悪影響を与えますので、毎日決まった時間帯に食事を摂ることも重要です。