花山葵(はなわさび)は花芽をつけたワサビの地上部で、ワサビ特有のつんとした辛みがあります。ワサビは日本原産のアブラナ科の植物で、日本食には欠かせない香辛料です。
ワサビの辛み成分であるアリルイソチオシアネートは、殺虫や抗菌などの効能があるほか、人体に対してはガンの予防効果も期待できるといわれています。
ところで辛いという味には発散作用があって、ストレスで気の巡りが悪くなっているときなどは辛いものが欲しくなります。ただし、唐辛子などの辛味はホット、すなわち体内に余分な熱がこもったり胃腸の粘膜を傷つけやすいので、その点、ワサビやミントなどの辛味はからだに優しい辛さで気の巡りを良くする作用が期待できます。春は昔から木の芽時(このめどき)と称され、気の巡りの悪さが顕在化しやすい季節ですが、花山葵の清々しい辛味はそういった時にぴったりの食材といえます。
また、木耳(きくらげ)は薬膳的には補気養血作用があるほか潤肺止咳(肺を潤して咳を抑える)作用があるとされ、免疫力を高める食材として人気があります。木耳は菌の子実体であるキノコですが、近年、土壌菌などの菌類や菌体成分が人体に対して免疫を刺激したり、腸内環境を改善する効果などが注目されています。これまでの医学では、人体を構成する内臓などの機能の解明が主でしたが、人体そのものが60~70兆個の細胞でできているのに対して腸内や皮膚に於いて人体と共生している菌類は1000兆個を越えると言われており、これらの菌類に関しては病原性を持つものに関しては研究されてきましたが、人体の健康面に対するプラスの効果については十分に解明されていません。
世の中の風潮として除菌や殺菌することが健康面に良いというイメージですが、発酵食品に含まれる菌体成分や土壌菌が豊かな土地で栽培された野菜と共生している菌類、あるいはキノコの類などは健康維持に欠かせないということはもっと認識されても良いと思います。