日本で販売されている漢方製剤の生薬原料は大半が中国からの輸入に頼っており、中国経済の発展と共に生薬価格の高騰が続いています。このたび、漢方メーカーが会員となっている日本漢方生薬製剤協会が会員メーカー72社に対してアンケート調査を実施し、その結果が公表されました。
まず2006年の原料生薬の購入価格を100としたとき2011年は169,2012年は191,2013年は213となっており、2006年以降の7年間で原料価格は2倍以上に高騰していることになります。生薬ごとにみた場合、使用量上位30品目総てで値上がりしており、中でも薬用人参に関しては2011年が169、2012年が244、2013年が393と約4倍にもなっています。
価格上昇の原因として会員各社が挙げた項目では、最も多かったのが「人件費、栽培・加工費の上昇」で次いで「中国国内の需要の増大」「資源減少」などとなっています。
生薬に関しては日本は中国以上に厳しい残留農薬などの基準が定められており、中国国内の価格の上昇で、日本の規格に合う生薬が減っているという側面もあり、今後とも生薬価格の上昇は続く可能性が高いと思われます。昨年あたりから漢方メーカーも製品価格を値上げするところが相次いでいますが、来年以降、更に製品価格の上昇は避けられない情勢です。
ただし、日本の歴史上、諸物価に比べて現在ほど漢方薬の価格が安い時代というのは無かったのも事実で、これまでが中国の開放政策や円高の進行といった要因もあり、生薬や漢方薬が安すぎたという側面もあると思います。また、価格の安さ故、安易な使われ方が横行しているような部分もあり、価格の上昇と共に本来の漢方的な考え方に基づく使われ方が見直される事になると思います。